取調べ可視化 最前線

Mr.可視化 Jr.登場

 東京新聞の記事に、取調べ可視化を推進する会の若手ホープ、日弁連「取調べの可視化実現本部」事務局長の秋田真志弁護士が登場していたので、ご紹介。

取調べ可視化-密室への挑戦―イギリスの取調べ録音・録画に�ぶ
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『踏み字』訴訟に見る取調室

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 「取り調べで一番ひどいのは暴行。踏み字も一種の暴行だが、その他にも、利益誘導や有形無形の圧力がかかる。孤立無援の状況下で異常な心理状態になり、捜査官が味方に見えてきて虚偽の自白をしてしまうこともある」。日弁連「取調べの可視化実現本部」事務局長の秋田真志弁護士は、密室での取り調べの危険性を、こう指摘する。
 可視化に、検察、警察の拒否反応は強かった。「公開が前提では真相を語りたがらない」「一対一の信頼関係を築けない」「共犯者の報復を被疑者が恐れる」というのが主な反対論。
 確かにドラマでは、人情刑事が、見事な職人芸で犯人を落とすシーンが定番。
 だが、秋田弁護士は信頼関係論を一蹴(いっしゅう)する。
 「カメラの前で、正々堂々と人情味を出して取り調べをすればいい。それで真実を語ってもらえなくなるというのは実証されておらずナンセンス。捜査当局は、自分の言うことを相手が認めれば『信頼関係ができた』と言っているだけだ」
 ジャーナリストの大谷昭宏氏も「前科何犯といった海千山千の被疑者は容易には自供しない。しかし、もう怒鳴ったり、机を叩(たた)いたりの時代ではない。そんなことで信頼関係は築けないし、そんな調書に証拠能力はない」と話す。
 国連は一九九八年、日本政府に取り調べの可視化を勧告。日弁連は二〇〇三年にワーキンググループを発足させたが、検察、警察側は取り合わなかった。
 ところが、〇九年に始まる裁判員制度が風向きを変えた。一般市民から選ばれる裁判員が、自発的な自白かどうか調書から読み解くのは困難。自白の任意性をめぐって裁判が長引くのも避けたい。そこで、昨年七月から東京地検で録画が部分的に試行され、今年一月、全地検に広げることを最高検が決定した。
 しかし、一部だけを録画する検察の方針に対し、捜査当局にとって都合の良い部分だけを使われ、かえって被疑者の不利益になると日弁連は警戒している。また、検察より急務である警察での導入は見送られたままだ。大谷氏は、警察の消極姿勢を批判する。
 「一線の捜査官で、可視化してくれと言う人は随分いる。心通わせて自供を得ても、後から暴行されたと言われることがあるからだ。『自供がなくても、きっちり証拠を固めて立件してやる』と現場の優秀な人間は変わりつつあるのに、頭の固い霞が関(警察庁)の連中が相変わらず自供頼りで、墓穴を掘っている」
 秋田弁護士は「可視化は捜査官も守る」と訴える。
 「密室では捜査官も独りよがりになってしまう。録画されれば、自分の行為を客観的に見ることができるんです」

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