取調べ可視化 最前線

捜査機関が弁護人を懲戒請求する目的で録取した供述調書~志布志事件発

asahi.com:県警・地検、弁護士懲戒狙い調書化 鹿児島選挙違反無罪 – 社会
2007年05月03日08時08分
 12人全員の無罪が確定した03年の鹿児島県議選をめぐる公職選挙法違反事件(買収・被買収)の捜査中に、県警と鹿児島地検が、弁護人を懲戒する意図で、接見時の容疑者(当時)と弁護士とのやりとりを調書にしていた疑いが強いことが分かった。実際に、地検は「弁護活動に行き過ぎがある」として国選弁護人2人の解任を鹿児島地裁に申し立て、2人は解任されている。
 捜査関係者によると、当時の捜査側は容疑者から「自白」をとるために弁護士を引き離そうと、懲戒を狙ったという。
 調書化の意図が懲戒だったことは、朝日新聞が入手した県警の内部文書にも記されている。内部文書は、公判対応について地検と県警が協議した内容を県警側がまとめた。
 捜査側が接見時のやりとりを容疑者側から聞き取って作成した調書は75通。「『あなたは(現金を)もらっていないんでしょう。否認しなさい』と(弁護士に)言われた」「『(現金を授受した)会合はなかったと言いなさい』と(弁護士に)言われた」などの内容だった。
 弁護側はこうした調書の作成は「接見交通権の秘密を侵害するものだ」として04年4月に国家賠償請求訴訟を提起。これに対し、国側は答弁書などで、(1)容疑者は自発的に接見内容を話した(2)弁護士が容疑を否認するようそそのかした疑いがある――などとしたうえで、この事件での接見内容の調書化は問題ないと主張。いまも係争中だ。
 だが、内部文書によると、04年10月末から11月にかけて行われた県警側との公判対策をめぐる協議で、地検側は「(当時、調書化の)指示を出したことは承知しているが、懲戒申請のために『弁護士の悪性を引き出した』ということは口が裂けても言えない」と発言。「懲戒申請目的の資料収集との主張は、何の捜査なのかという反論を呼ぶし、国家賠償請求訴訟に影響を及ぼす」などとして、公判などで懲戒を意図して調書を作成した旨の証言をしないよう県警に求めている。
 さらに地検側は「検事から指示があったこと、懲戒請求を考えていると言われたことも証言していい」としながらも、「あくまでも罪の立証に付随して出された指示だったと証言すべきだ」などと指導していた。
 内部文書の内容について、地検は「コメントしない」、県警は「何も言えない」としている。

 実にゆゆしき問題である。弁護人と被疑者・被告人との間の秘密接見交通権を侵害することは論を俟たない。
 捜査機関による捜査権力の濫用であることも明白。鹿児島県警及び鹿児島地方検察庁は直ちに厳正な調査、それも外部機関(たとえば弁護士・有識者など)に委託して行う徹底調査によって事態を明らかにすべきだ。「真相」解明がなされなければならない。

 あきらかになった「真相」に基づいて、このような濫用行為に直接あるいは間接的に関与した鹿児島県警の警察官、鹿児島地方検察庁検察官は当然に懲戒処分にふされるべきだろう。