供述調書の全ページに署名or指印させても任意性の確保にはならない!
警視庁が、被疑者の供述調書の内容に誤りがないかの確認を徹底するため、「読み聞け」と「閲覧」を徹底し、供述調書の全頁に署名か指印(押印)を求めるという「新方式」を始めるらしい。
しかし、もともと、供述調書は一人称の物語形式である。取調べにおいて、捜査官と被疑者の問答が一言一句正確に記録されたものではない。供述調書では、被疑者が情報を提供したのかそれとも警察官が提供する情報を否定できなかっただけなのか、否定できなかったのは警察官による利益誘導や威迫や偽計があったことによるのではないかなど、具体的な取調べ状況やコミュニケーション過程は一切わからない。
警視庁がこの新方式なら任意性の確保ができると真剣に考えているのであれば、全くの見当違いである。
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取調べ全過程の録画・録音による可視化に何のデメリットもない。
捜査機関、とりわけ警察に、自ら行う捜査に自信があるなら、取調べ過程が事後的に検証にさらされても何も問題ない。
実は、取調べが検証に耐えられないから可視化に反対しているのではないか、暴力・暴言等が日常茶飯事だから可視化に反対しているのではないか、取調官自体尋問技術を磨く必要があるのに、安易な暴力・暴言・脅しにより供述を引き出そうとする極めて前近代的で粗野で稚拙な取調べしかできないから可視化に反対しているのではないか。等々、取調べ過程についての疑問は絶えないが、警視庁の発表は、このような多々ある疑問に正面から応えるものではない。どこまで厚化粧をすれば気が済むのか。
調書全ページに容疑者押印、供述内容の任意性確保へ : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
供述調書の内容を巡り、刑事裁判が長期化するケースが絶えないことを受け、警視庁は10日から、東京都内の全101署で、容疑者の取り調べ時に作成する調書の全ページに、容疑者本人から指印などの押印を求める新方式をスタートさせた。
2009年に始まる裁判員制度に備え、調書の最終ページだけに押印する従来の方法よりも、調書の任意性や信用性を確保できると判断した。全国の警察本部も8月以降、導入する方針。新方式は、調書の各ページごとに容疑者の押印か署名を求めたうえ、最後のページには従来通り押印と署名の両方を求める。
また、調書の内容に誤りがないか容疑者への確認を徹底するため、警察庁は、これまで全国の警察本部に対し、「読み聞かせる」もしくは「閲覧させる」よう指示してきたが、今回新たに、読み聞かせと閲覧を同時に実施することとした。
検察庁は裁判員制度の対象事件について、取り調べの一部を録音・録画する試みを始めている。日本弁護士連合会は取り調べ全過程の録画・録音を求めており、警察当局は、今回の新方式を早期に定着させることで、妥協点を探る狙いもあるとみられる。
(2007年5月11日3時2分 読売新聞)
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