取調べ可視化 最前線

検察庁での取調べの録画DVD

 昨年5月、検察庁が、ある特定の事件について、検察官による取調べ状況の一部の録画を試行すると発表し(=>「検察官による取調べ」のみの可視化ってどうよ?)、その後今年の1月、全国で試行することが発表された(=>検察庁での取調べ録画・録音、全国で試行へ)。

 今般、ある殺人被告事件で、検察官は、検察庁での取調べ状況の一部を録画したDVDを証拠として取調べ請求があり、これに対し弁護人も同意したことから、裁判所がこれを採用し、去る5月25日、法廷での取調べとしてDVDが再生された。

◆検察官からの証拠請求に関する記事

取り調べ映像を証拠申請へ 保険金殺人公判で尋問後 東京新聞 – 2007年5月14日
東京地検、取り調べ映像を証拠申請へ TBS – 2007年5月14日
2007/05/15-11:16 取り調べ録画を証拠申請方針=弁護側に意向伝える-比保険金殺人公判で・東京地検 時事通信 – 2007年5月14日
東京地検、取り調べのDVD映像を証拠申請 朝日新聞 – 2007年5月14日

◆裁判所の証拠決定に関する記事

取り調べ録画を“上映” 東京地裁、証拠採用で全国初 中国新聞 – 2007年5月25日
取り調べ録画DVD、初めて証拠採用・東京地裁 日本経済新聞 – 2007年5月24日
取り調べ録画DVD、初の証拠採用 TBS – 2007年5月24日
取り調べ録画を証拠採用=検察側請… 時事通信 – 2007年5月24日
取り調べの様子録画したDVD 法廷で上映へ 東京地裁 朝日新聞 – 2007年5月24日
取り調べ録画を証拠採用 保険金殺人事件の共犯 東京新聞 – 2007年5月24日

◆裁判所での証拠の取調べ(DVDの再生)に関する記事

取り調べ録画 法廷で再生 フィリピン保険金殺人 東京新聞 – 2007年5月25日
取り調べの映像、法廷で初公開・東京地裁 日本経済新聞 – 2007年5月25日
法廷で取り調べDVD映像 証拠として初めて再生 朝日新聞 – 2007年5月25日
取り調べ録画を初“上映” 「主犯怖い」生々しく 東京新聞 – 2007年5月25日
取り調べ記録したDVD、法廷で再生…保険金殺人公判 読売新聞 – 2007年5月25日

◆関連記事

取り調べの録音・録画 西日本新聞 – 2007年5月25日

  取調べの可視化を求める声が高まっている中、今回の検察官の取り調べ状況の一部を録画したDVDが証拠請求され、採用決定、取り調べがなされたということ自体、ある意味画期的な出来事であろう。しかし、以前にも指摘したように、検察庁での録画は、全事件ではなく一部である。しかも取調べ過程のすべてではなく一部である。録画するかどうかの判断は検事がするという。また、取り調べ過程の録画のシステム(装置)の具体的な形状とか撮影の仕組みとかいったことははっきりとわからない。偽造・改ざん防止はどうなっているのかもわからない。

 記事から、この殺人事件の被告人は犯行を否認していて、この被告人の犯行を認める共犯者の供述が検察官立証のポイントになることがうかがえる。しかし、共犯者の供述調書がどのように扱われているのか、その共犯者の証人尋問はあるのか、などなど不明な点が多々あるので、何のためにこのDVDの取調べをすることになったのか今ひとつよくわからない。

 検察官の発問と被疑者の応答という具体的なやりとりが再生されたようだが、再生されたDVDは約10分程度だったようだ。この10分程度が供述調書の枚数でどれくらいに該当するのかよくわからないが、さほど多くはないだろう。

 これらのことから考えると、この事件での録画DVDの取調べによって何が明らかになるのか、今ひとつよくわからない。この程度のもので「供述の信用性」を吟味できるとは到底思えない。