取調べ可視化 最前線

取調べ中の違法行為に損害賠償が命じられた事例

 取調中の暴行・暴言に対し、損害賠償を認める判決が出ている。取調べ過程が録画・録音されていれば一層はっきりしたはずである。取調べ過程が問題になるケースでは取調べ全過程が録画・録音がされているかどうかという事情も捜査機関の責任を考察する上で重要な要素だと思われる。なお、現時点では、被疑者ノートが取調べ過程を可視化する重要な資料となっているものと思われるので、国家賠償訴訟でもその活用を検討すべきだろう。
それにしても、警察は、裁判所から判決で捜査に違法があったといわれ、判決が確定しても、事件に関して何のコメントも発表しない。もちろん、違法な取調べをやった警察官の処分も発表しない。取調べ全過程の録画録音も検討しない。違法な取調べを温存したいというふうにしか理解できない。

[取り調べで暴言「違法」 少年不処分訴訟 鹿児島地裁判決 県に6万円賠償命令] / 鹿児島 / 西日本新聞

準強制わいせつ容疑で逮捕され、少年審判で2度の差し戻しを経て、家裁で無罪にあたる不処分決定を受けた鹿児島県長島町の元少年4人(22-23歳)が、通っていた町立中学と県警のずさんな調査、捜査で苦痛を被ったとして、同町と県に慰謝料など計4400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、鹿児島地裁であった。高野裕裁判長は、警察官が取り調べ中、元少年1人に「心が腐りきっている」と発言したことを「人格を非難し違法」と認定。県に対し同少年に6万円を支払うよう命じた。原告側のその他の訴えは棄却した。

高野裁判長は、警察官の発言以外の県警捜査について「不適切な取り調べが散見されるが、違法理由の存在は認められない」と判断した。

判決によると、4人は中3だった2000年2月、同じ中学の知的障害のある女子生徒の体を触ったとして逮捕された。鹿児島家裁は少年院送致を決定したが、福岡高裁宮崎支部は「目撃者の供述に変遷や虚偽内容があるなど事実誤認がある」などとして審理を2度差し戻し、同家裁は同年9月、4人とも不処分とした。4人は183日間、身柄を拘束され、同年の高校入学を断念した。

4人は02年5月、同校は不十分な調査で4人を犯人と決め付け、県警は同校の情報をうのみにした見込み捜査で執拗(しつよう)に自白を迫った、などと主張し提訴。同町と県は「調査、捜査は適正だった」として争っていた。
=2007/08/28付 西日本新聞夕刊=

sahi.com:取り調べの「暴行」認定 府に賠償命令 大阪地裁 – 関西
2007年08月23日

大阪府警に公務執行妨害容疑で逮捕されて取り調べを受けた際、警察官から暴行されたとして、大阪市の男性(32)が府に330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、大阪地裁であった。村岡寛裁判長は「男性の主張は具体的で信用できる」として、警察官の暴行を認定し、慰謝料など22万円の支払いを府に命じた。

判決は、逮捕直後は無傷だった男性の唇が取り調べ後に切れていたことから、取調官があごを殴ったと認定した。

大阪府警の竹中誠一監察室長は「承服しがたい点があり、控訴の方向で検討する」とコメントした。

asahi.com:少年「無罪」事件で大阪府警の違法取り調べに賠償命令 – 関西
2007年06月28日
大阪府警に04年に傷害容疑で逮捕され、少年審判で無罪にあたる不処分となった男性(22)と両親が「取り調べ中に暴行を受けた」として、府に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、大阪地裁であった。大西忠重裁判長は、警察官の暴言や暴行があったと認定し、男性に対して慰謝料など55万円を支払うよう命じた。

判決によると、男性は当時19歳だった04年4月、大阪府高石市のゲームセンターで客の高校生ら2人を殴ってけがをさせたとして逮捕され、高石署で取り調べを受けた。判決は、男性が取り調べ後にノートに書きつづった暴言や暴行の内容は「十分信用できる」と判断。同署の取調官が「死ね」と言ったり、頭をたたいたりしたことを違法と認めた。

竹中誠一・府警監察室長は「判決内容を精査したうえで今後の対応を決めたい」としている。