取調べ可視化 最前線

【富山冤罪事件】 判決要旨~ MSN産経ニュースから

 富山冤罪事件についての判決の要旨について報道されています。

【富山冤罪事件】 判決要旨 1/2ページ – MSN産経ニュース

富山県氷見市の冤罪事件で、富山地裁高岡支部が10日言い渡した判決の要旨は次の通り。

【主文】
被告人は無罪。
【理由】
■第1 公訴事実
本件公訴事実は以下の通りである。
平成14年5月24日付起訴状記載の公訴事実(=本件公訴事実1) 被 告人は正当な理由がないのに、平成14年1月14日午前8時30分ころ、富山県内所在の被害者A(当時18歳)方に侵入し、強いて同女を姦淫しようと企 て、同女に対し所携のナイフを右ほおに突きつけ、「警察に言ったら殺す」と脅しつけるなどの暴行・脅迫を加えてその反抗を抑圧し、強いて同女を姦淫したも のである。 同年6月13日付起訴状記載の公訴事実(=本件公訴事実2) 被告人は女性を強姦する目的で、 平 成14年3月13日午後2時40分ころ、富山県内所在の被害者B(当時16歳)方において、同女に対し果物ナイフを首に押し当て、「騒いだらこれで刺して もいいんだぞ」などと語気鋭く脅しつけるなどの暴行・脅迫を加えてその反抗を抑圧し、強いて同女を姦淫しようとしたが、抵抗されたためその目的を遂げな かったものである。

■第2 再審公判に至る経緯
本件記録によれば、次の事実を認めることができる。

被告人は平成14年5月24日に控訴事実1で、同年6月13日に控訴事実2でそれぞれ富山地裁高岡支部に起訴された。同支部は同年11月27日、下記の事実を認定して被告人に対し、懲役3年、未決拘置日数中130日算入の有罪判決を言い渡した。
被告人は
第 1 平成14年1月14日午前8時30分ごろ、盗みの目的で、富山県内所在の被害者A(当時18歳)方の無施錠の玄関から屋内に土足のまま侵人し、同女 を認めるや、同女を強姦しようと思い、所携のナイフ(刃体の長さ約9・5センチ)を右ほおに突きつけ、「警察には絶対言うな。言ったら殺すぞ」などと言う などの暴行、脅迫を加えて、その反抗を抑圧した上、強いて同女を姦淫した。
第2 同年3月13日午後2時40分ごろ、富山県内所 在の被害 者B(当時16歳)方において、同女を強姦しようと思い、所携の前記ナイフをその首に押し当て、「騒いだらこれで刺してもいいんだぞ」などと語気鋭く言う などの暴行、脅迫を加えてその反抗を抑圧した上、強いて同女を姦淫しようとしたが、同女に抵抗されて時間が経過したことから家人の帰宅を恐れるとともに、 泣いている被害者をかわいそうに思って姦淫を断念したため、強姦の目的を遂げなかったものである。

前記判決に対する控訴はなく、同判決は確定した(以下、同判決の確定までを「確定審」といい、同判決を「確定判決」という)。その後、被告人は服役することとなり、平成17年1月13日仮出獄し、同年7月19日、刑の執行が終了した。
富 山地検高岡支部検察官は平成19年2月9日、富山地裁高岡支部に対し、被告人に対して無罪を言い渡すべき明らかな証拠があらたに発見されたとして、確定 判決に対する再審の請求をした。同支部は同年4月12日、前記請求には理由があると認め、確定判決に対する再審開始の決定をした。前記決定に対する即時抗 告はなく、同決定は確定した。

■第3 当裁判所の判断
関係証拠によれば、確定判決は、被告人が本件公訴事実1に係る犯行の犯人である点につい て、被告人が本件公 訴事実1に係る犯行を認める供述をし、さらに、前記犯行を再現したり、その関係個所を指示説明したりしている(以下、併せて「本件自白1」という)こと、 被害者が警察官に対し写真台帳から被告人の写真を選んだ上、犯人にとても良く似ていると供述していること、また、被告人を透視鏡越しに5分間見た上、声の 感じもそっくりで、犯人にほぼ間違いないと供述していること、さらに検察官に対し被告人が犯人に間違いないと供述している(以下、併せて「被害者供述1」 という)ことを根拠としている。
また、被告人が本件公訴事実2に係る犯行の犯人である点については、被告人が本件公訴事実2に係 る犯行を 認める供述をしている(以下「本件自白2」という)こと、被害者が警察官に対し写真台帳から被告人の写真を選んだ上、犯人に良く似ていると供述している (以下「被害者供述2」という)ことを根拠としていると認められる。 しかし、次の証拠によれば、本件公訴事実1、2に係る各犯行の真犯人は大津英一被告であると認められる。
す なわち、大津被告は本件公訴事実1、2に係る各犯行を自白しているが、前記各犯行の状況については具体的な記憶も一部残存しており、前記各犯行の現場や 関係個所に警察官を案内するなどしていること、平成14年5月5日に石川県内で発生した強姦事件の犯行現場に遺留された足跡と本件公訴事実2に係る犯行現 場に遺留された足跡は同種足跡であり、同一の運動靴によるものであると推定されること、本件公訴事実1、2に係る各犯行現場に遺留された足跡は同種足跡で あり、合致足跡である可能性が認められることなどから、前記自白は十分に信用することができるといえる。 そうすると、本件自白1、2および被害者供述1、2は、いずれも信用性のないことが明らかである。 また、本件公訴事実1、2について、ほかにも被告人の犯人性を疑わせる証拠、すなわち、平成14年3月13日午後2時40分ころ、被告人が自宅で電話をかけていたことを裏付ける証拠が存在している。
なお、再審において、本件公訴事実1、2に係る各犯行を認める被告人の検察官調書などが提出されているけれども、これらについても信用性のないことは本件自白1、2および被害者供述1、2と同様である。

以上によれば、被告人が本件公訴事実1、2に係る各犯行の犯人でないことは明らかであって、本件公訴事実1、2について犯罪の証明がないことになるから、刑事訴訟法336条により無罪の言い渡しをすることとし、主文のとおり判決する。