取調べ可視化 最前線

裁判員裁判と自白調書の任意性・取調べ可視化

 最高裁司法研修所による研究結果のなかで、取調べ可視化が評価され、また、自白の任意性の立証や判断についても言及されている模様。
=>中日新聞:裁判員が自白調書の任意性を判断 最高裁研修所の研究結果判明:社会(CHUNICHI Web)

中日新聞:裁判員が自白調書の任意性を判断 最高裁研修所の研究結果判明:社会(CHUNICHI Web)

最高裁司法研修所(埼玉県和光市)による裁判員裁判の在り方に関する研究結果の骨子が10日判明し、自白調書の任意性が争われた場合、裁判員が認 めない限り証拠採用しない方針が示されることが分かった。裁判官は検察側、弁護側双方の任意性立証を解説したり、自分の考えを説明したりしないことも盛り 込まれている。

研究結果の骨子は「裁判員裁判のイメージを示したもの」(最高裁刑事局)とされ、実務上の指針となりそうだ。また骨子は、富山などの冤罪(えんざい)事件で注目されている取り調べの録画を「有効な手段」と評価し、本格導入を促す可能性もある。

司法研修所は本年度、東京地裁などの裁判官計5人に「裁判員制度の下における大型否認事件の審理の在り方」に関する研究を委嘱し、10月までに骨子がまとまった。

骨子によると、まず裁判員裁判の基本的な考え方として(1)法廷での供述・証言に基づき審理する「口頭主義」を徹底する(2)審理時間を大幅に削 減し、公判に立ち会うだけで必要な判断資料が得られるよう工夫する(3)裁判官室で供述調書などを読み込む従来の方法は採らない-などと指摘した。

続いて被告が捜査段階の自白を翻して起訴事実を否認し、捜査段階の自白調書は任意の供述か、取調官の強要によるものかが争われるケースに言及。こ れまでは取調官の尋問や被告人質問などが長く続き、裁判官が全供述調書を証拠採用した上で供述の変遷を検討して判断してきたが、裁判員裁判では「こうした 手法は採り得ない」との見解を示した。

取調官の尋問について「供述経過を証言させ、任意性などの肯定判断を得ることは期待すべきでない。尋問も30分-1時間程度(主尋問)で終える場合に限る」とし、検察側に取り調べ時間、場所などのほか容疑者の体調も含めた経過一覧表の作成も求めている。

その上で自白調書の証拠採用に裁判員が同意する必要性を示し「捜査の実情に関する裁判官の理解を前提にすれば任意性を肯定してもよいケースでも、裁判員が確信する決め手がない場合(検察側は)任意性立証に失敗したと考えるべきだ」と付言した。