取調べ可視化 最前線

保釈率の上昇

 昨年度の保釈率が上昇に転じた模様。裁判員裁判を乗り切るために、これまでよりもいっそう迅速に十分な時間をかけて被告人と打ち合わせをしなければならないような事件が想定される。このような事件の場合、拘置所での接見時間は延長されたが、十分な打ち合わせの時間を確保することが難しいので、保釈されているかどうかは重要な問題である。今後の動向を見守りたい。

保釈率が8年ぶり15%台 – 社会ニュース : nikkansports.com

刑事事件の被告の保釈率(1審公判中)は2004年から上昇に転じ、06年は8年ぶりに15%台まで回復したことが29日、最高裁の集計で分かった。裁判員制度に向けた裁判官の意識変化、被告と弁護人の十分な打ち合わせが必要な公判前整理手続きの影響が指摘されている。保釈率が低く、拘置が長引く状況は「人質司法」と批判されてきたが、転換期を迎えつつあるようだ。

集計によると、06年に起訴後拘置された被告は6万8490人で、うち1審公判中に保釈されたのは15・0%に当たる1万286人。

保釈率は1972年の58・4%をピークにほぼ一貫して下がり続け、80年に30%台、84年に20%台、95年以降は10%台に落ち込んだ。2003年に12・6%の最低を記録。04年、05年は13・2%、13・4%とわずかに上昇した。06年は前年より1・6ポイントアップし、98年の15・5%に近い水準に戻った。

一方、拘置された被告のうち保釈を請求した割合(保釈請求率)も、70年代は同じ被告が何度も請求し、100%を超えていたが、保釈率とともに下がり続け、90年代に50%を大きく割り込んだ。99年以降は20%台で推移し、06年は29・0%と前年より3・6ポイントも上昇した。

裁判員制度は04年5月の裁判員法成立で現実のものとなり、最高裁などは裁判員を務める市民のため、迅速で分かりやすい審理の実現が不可欠として刑事裁判の在り方の見直しを進めている。

保釈については、大阪地裁判事が06年、法律専門誌に「(証拠隠滅の恐れなどの判断)基準が厳格すぎて見直す必要がある。裁判員裁判では連日のように公判を開くことなどから被告と弁護人は十分な意思疎通を図って準備する必要があり、弾力的に保釈を運用していくべきだ」との論文を発表。裁判官の間で広く読まれているという。
公判前整理手続きは審理を迅速化するため、初公判前に争点を確定し、公判の証拠も決めてしまう手続きで、05年11月から導入された。

同手続きでは、弁護側も主張を明らかにしなければならず、被告と弁護人の十分な打ち合わせが必要とされる。罪状を否認していたライブドア事件の堀江貴文被告(35)も「弁護人と十分に打ち合わせできるよう配慮する必要がある」として保釈が認められた。

[2007年12月29日20時27分]

NIKKEI NET(日経ネット):社会ニュース-保釈率、15%台に上昇・公判前手続きが契機

刑事事件で起訴された被告の保釈が認められるケースが増加に転じ始めた。最高裁によると、保釈率は2003年に12%台と過去最低になったが06年は15%台に回復。07年はさらに高まる見通しだ。裁判員制度に向け、05年にスタートした「公判前整理手続き」のため被告の保釈の必要性が高まっていることなどが背景とみられる。

刑事訴訟法は、弁護側から保釈請求があれば、(1)死刑や無期懲役などの可能性がある重い罪で起訴されている(2)証拠隠滅の恐れがある――など例外的なケースを除き、裁判所は保釈を許可しなければならないと規定している。(31日 07:02)