取調べ可視化 最前線

読み聞かせ部分の可視化はナンセンスである

 警察庁は取調べの録画録音について一部施行することを公表したが、報道によると、4月3日、可視化の対象を「一部事件の調書の読み聞かせ部分」を中心とすることを発表した模様。
 調書の「読み聞かせ」というのは、警察官が録取した自白調書を被疑者に読んで聞かせることである。その後間違いがないことを確認して被疑者の署名指印を求めることになるが、おそらく被疑者の署名指印のところまでを対象とするのだろう。
 しかし、このような可視化は、警察庁が自白調書の任意性の確保策として過去に発表した内容と全く軌を一にする(読み聞かせをした調書すべてに署名指印をさせるなど)。そもそも取調べ全課程の可視化実現の眼目の一つは、自白調書作成過程をつまびらかにすることである。このプロセスが闇の中ではなく白日の下にさらされることにより、違法・不当な取調べを客観的資料に基づいて事後的に検証することが可能になるのである。この自白調書作成過程が闇の中に包まれたままの録画録音はごく僅かな取り調べを、しかも捜査機関にとっても都合のいい部分だけを明らかにするだけである。全くナンセンスである。
 鹿児島からの反発は至極当然のことである。

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取り調べ一部可視化決定 志布志無罪住民ら反発
自白強要防げぬ
04/04 07:21
 警察庁が3日、試行を決めた取り調べの録音・録画(可視化)が、一部の事件の調書の読み聞かせ部分が中心になったことに対し、全過程の可視化を求める志布志・県議選事件の無罪住民らは「可視化は自白の強要を防ぐ手段なのに、警察側に都合よい方法になった」と一斉に反発した。
 無罪住民らの国家賠償請求訴訟原告団長の藤山忠さん(59)=志布志市=は「警察庁が一部可視化導入に動き出したときから、自白強要を防ぐ手段にならないと心配したことが現実になった」と強調。「私たちは長時間の強圧的な任意取り調べで自白に追い込まれ調書を取られた。抵抗する力を失い、その内容を追認させられる場面だけを録音・録画してもまったく意味がない」と憤った。
事件の主犯とされた中山信一県議(62)=同=は、警察が可視化導入反対の理由に挙げていた組織犯罪への適用が除外されたことを指摘し「全過程を可視化しても不都合はないはずだ」と訴えた。
 無罪住民や「踏み字」事件の被害者川畑幸夫さん(62)=同=らが全過程可視化を訴えるのは、不適切な取り調べの根絶が目的だからだ。しかし、警察庁は取り調べを監視する部署の新設で対応する方針。川畑さんは「読み聞かせの録画では、不適切な取り調べは防げない。裁判員には容疑が濃厚と印象づけてしまう」と話した。
一方、県警幹部の1人は「取調官に口頭では話すが、調書を残すことを拒む容疑者もいる。可視化は世の流れだが、調書を取られることを嫌って、否認を貫く容疑者が増えないか心配だ」と捜査への影響を懸念した。