取調べ可視化 最前線

警察官の取調べメモと証拠開示~最近の動向

 最近の動向を若干整理しておきます。

 当ブログでも取り上げたが、警察官の取調べメモについては、近時重要な最高裁の判断が下されている。
 同メモが公判前整理手続における証拠開示命令の対象になると述べたのが平成19年12月25日。平成20年2月27日の最高裁の判断も同様(ただし平成19年12月の事件と争点が違う。最高裁はメモのすべての開示を認めなかった高裁の判断を支持したが、その射程については慎重に検討すべきものと思われる)。 その後大阪地裁が検察官のメモも対象になると公判前整理手続で指摘していたことが平成20年4月10日付けで報道された(報道によれば検察官メモがないため決定には至らなかった模様)。

検察官メモも開示対象 初の司法判断、大阪地裁 – MSN産経ニュース

 警察庁は、(中途半端な)取調べの可視化へと動く中、平成20年5月12日ころの報道によれば、取調べメモにつき訓令を定めることにした模様。

時事ドットコム:「組織で作成」は保管=警官の取り調べメモ-取り扱いを明示・警察庁 東京新聞:備忘録の保管定める 警察庁、最高裁決定受け:社会(TOKYO Web) 捜査メモも保管徹底を…警察庁が全国警察へ通知へ : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) NIKKEI NET(日経ネット):警察庁、取り調べ書面の適切保管指示へ

 たとえば、時事ドットコムでは、「警察官が取り調べの際に書き取ったメモの取り扱いについて、組織として作成・管理される文書は事件ごとに保管するよう訓令で定め」ることを報道している。 そして、上記訓令に関する報道と同日頃の下記記事で、「大分地裁が、05年に起きた強盗殺人事件の公判前整理手続きの中で、取り調べメモ(備忘録)の有無について警察官に対し異例の尋問をすることが分かった。」と報じられた。

<取り調べメモ>異例の警官尋問へ 大分地裁(毎日新聞) – Yahoo!ニュース

 なお、同記事には、「刑事裁判手続きについて詳しい大阪弁護士会の後藤貞人弁護士は『検察側が安易に(メモが)不存在とするだけでは、証拠開示制度は絵に描いた餅になる。メモの存在をしっかり確認する姿勢は意義がある』と評価している。」と弁護士からのコメントが掲載されている。そのほか以下の記事がある。

備忘録の有無 警官を尋問へ 旧清川村の強盗殺人事件 地裁、公判前整理手続きで : 大分 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) 聴取メモ有無 尋問へ 大分地裁 強殺事件で5警官に / 西日本新聞

 その後尋問が行われたようであるが、非公開のため、メモの有無についてどのような尋問が行われたのかについてはよくわからない。以下は5月22日付け記事。

<強殺公判>取り調べメモ巡り警察官を直接尋問 大分地裁(毎日新聞) – Yahoo!ニュース

 公判前整理手続で取調べメモが開示の対象になるのは確定したとみてよいだろう。もっとも、公判前整理手続を経ない事件ではどうなのだろうか? 公判前整理手続に付されたかどうかで取調べメモの開示命令が出たりでなかったりと、区々の判断になるのは明らかにおかしい。取調べメモにより取調べ状況を明らかにする必要があることに全く変わりがないからである。 取調べの可視化実現によりこの議論を早く歴史の1ページにしてしまいたいものだ。