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捜査メモに関する最高裁判所第三小法廷平成20年06月25日決定

 平成20年6月25日、いわゆる捜査メモに関する証拠開示決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件の最高裁判所第三小法廷決定が出ています。 =>裁判所ホームページ:裁判例情報

主文
  本件抗告を棄却する。

理由
 本件抗告の趣意は,判例違反をいうが,実質は単なる法令違反の主張であって,刑訴法433条の抗告理由に当たらない。
 所論にかんがみ,職権により判断する。
 所論は,原々決定が開示を命じた「本件保護状況ないし採尿状況に関する記載のある警察官A作成のメモ」(以下「本件メモ」という。)は,同警察官が私費で購入してだれからも指示されることなく心覚えのために使用しているノートに記載されたものであって,個人的メモであり,最高裁平成19年(し)第424号同年12月25日第三小法廷決定・刑集61巻9号895頁にいう証拠開示の対象となる備忘録には当たらないから,その開示を命じた原々決定を是認した原決定は違法であると主張する。
 しかしながら,犯罪捜査に当たった警察官が犯罪捜査規範13条に基づき作成した備忘録であって,捜査の経過その他参考となるべき事項が記録され,捜査機関において保管されている書面は,当該事件の公判審理において,当該捜査状況に関する証拠調べが行われる場合,証拠開示の対象となり得るものと解するのが相当である(前記第三小法廷決定参照)。そして,警察官が捜査の過程で作成し保管するメモが証拠開示命令の対象となるものであるか否かの判断は,裁判所が行うべきものであるから,裁判所は,その判断をするために必要があると認めるときは,検察官に対し,同メモの提示を命ずることができるというべきである。これを本件について見るに,本件メモは,本件捜査等の過程で作成されたもので警察官によって保管されているというのであるから,証拠開示命令の対象となる備忘録に該当する可能性があることは否定することができないのであり,原々審が検察官に対し本件メモの提示を命じたことは相当である。検察官がこの提示命令に応じなかった本件事実関係の下においては,本件メモの開示を命じた原々決定は,違法ということはできない。したがって,本件メモの開示を命じた原々決定を是認した原決定は結論において相当である。
 よって,刑訴法434条,426条1項により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
  (裁判長裁判官 堀籠幸男 裁判官 藤田宙靖 裁判官 那須弘平 裁判官 田原睦夫)