取調べ可視化 最前線

日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:警察庁発表の「取調べの録音・録画実施状況について」に関する日弁連コメント

2012年(平成24年)9月6日

日本弁護士連合会

警察庁は、本日(2012年9月6日)、「取調べの録音・録画実施状況について」と題して、2008年9月から2012年7月までの警察における取調べの録音・録画の実施状況について発表した。この中には、「試行指針改正後」である2012年4月から同年7月までの実施状況も含まれている。

試行指針改正後、裁判員裁判対象事件の録画件数は、1か月に平均200件のペースで推移しており、以前に比べて録音録画の実施数は相当に増加している。特に、送致前の録画回数が全体の42%を占めていることが注目される。否認事件をも含め、弁解録取など初期段階の取調べについて録画がなされていることは適切な方向を目指しているものといえるが、このことは同時に、最初期の段階で、被疑者に弁護人の援助を受ける機会を与える必要性が格段に高まっていることを示している。

しかし、録画の実施時間は平均20分、最長109分であり、通常の取調べ時間を考えると、いまだ、ごく一部だけが録画されているにとどまっている。試行指針改正後、供述録取書に録取する前に録音・録画するプレビュー方式も採られるようになったのは、警察における取調べの録画にあって従来の方式を質的に転換させたものともいえるが、今回の発表において「全過程」録画の試行が明示されていないのは、甚だ遺憾というべきである。

知的障がいを有する被疑者についての試行も始まったばかりであるが、特に知的障がいを有する被疑者については、送致前の録画や「被疑者との質問・応答の状況」の録画が重要であるところ、試行ではその割合は少ない。知的障がいが疑われる限り、弁解録取時や取調べの早い段階の応答を必ず録画し、以後全体を通じて録画がなされるべきである。知的障がいを有する被疑者について取調べ「全過程」の録画を行うことは急務といわなければならない。

全国の警察署において、録画機器の整備が進められているとも報道されているところ、国及び地方自治体の予算により一層の整備がなされ、事務的な支障は消滅していくと思われる。それゆえ、今後は警察において、本年3月に発表された「捜査手法、取調べの高度化プログラム」の下、取調べ技術の向上を図り、録画の下で適正な捜査を行い、「全過程」録画の試行をさらに拡充させることを期待する。

 

引用元: 日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:警察庁発表の「取調べの録音・録画実施状況について」に関する日弁連コメント.