取調べ可視化 最前線

大阪地裁と大阪家裁で「裁判官」の判断が違うというのは…

 2004年2月、当時の大阪地裁所長がおそわれて現金を奪われたという事件が起こった。
 犯人とされたのは成人2名と少年3名。なお、少年3名のうち、1名は2004年7月に大阪家裁で審判が行われ、1名は児童相談所通告となっており、残る1名の審判が3月23日に行われた。

 このうち、成人2名は、3月20日、大阪地裁で無罪の判決を受けた。報道などによると、大阪地裁(米山正明裁判長)は、

共謀を認める旨の少年らの供述に関し、捜査官の誘導に迎合したもので信用できない

と判断したようである。
 これに対し、大阪家裁は、2004年7月に少年1名に対し「非行事実」を認め(有罪と同じ)、また、3月23日、少年1名にも「非行事実」を認めた。報道などによると、大阪家裁(審判官高橋文仲)は、

共謀を認める旨の少年らの供述は信用できる、取調べに配慮が欠けたところはあるが任意性・信用性に疑いを抱かせるものではない

と判断したようである。

 報道では上記の正反対の判断を取り上げている。

少年を中等少年院送致 大阪地裁所長襲撃事件で大阪家裁 朝日新聞
地裁所長襲撃、16歳を少年院送致…地裁判決と正反対 読売新聞
地裁所長襲撃で少年院送致/成人と判断分かれる 四国新聞

 この大阪地裁と大阪家裁の判断の食い違いをどう考えればいいのだろうか。
 審理経過等わからないことが多いが、少なくとも、両者は、密室での取調べ過程の評価の違いによって分かれたと言っても過言ではないのではないか。
 供述の信用性判断に関していろんな論文や書籍があり、そこであれこれ述べられている。しかし、本来取調べの過程を吟味することなくして供述の信用性の評価などなしえないと思われる。取調べ過程の録画・録音による可視化(録画がベターでしょう)がなされていればこのような食い違いは起こりえなかった(可能性は小さかった)のではなかろうか。